響灘ビオトープを守り、地域とともに未来を育む
日揮触媒化成株式会社
日揮触媒化成株式会社
| 企業名 | 日揮触媒化成株式会社 |
|---|---|
| 業種 | 触媒(石油精製・ケミカル)、環境・新エネルギー、ファインケミカル分野の製品開発・製造 |
| 設立 | 1958年 |
| 所在地 | 神奈川県川崎市幸区(北九州事業所:福岡県北九州市若松区北湊町) |
~響灘ビオトープを守り、地域とともに未来を育む~
北九州ネイチャーポジティブネットワークでは、地域経済の活性化と生物多様性の保全を両立する「ネイチャーポジティブ」の実現を目指し、企業による多様な取り組みを共有して参ります。
本記事では、ネットワーク参画企業である日揮触媒化成株式会社(以下、日揮触媒化成)による「響灘ビオトープにおける生物多様性保全活動」の取組をご紹介します。 日揮触媒化成は、地域と連携した環境保全活動や環境学習を通じて、自然と産業が共生する地域づくりに取り組んでいます。その活動は、地域に根差したネイチャーポジティブ経営の実践事例といえます。
素材技術で「人と地球の健康」に貢献
日揮触媒化成は、触媒(石油精製、ケミカル)、環境・新エネルギー、ファインケミカル分野において、業界トップレベルのナノ基盤技術と素材の特長を最大限に活かした設計開発力で高品質な製品を作っています。同社の作る製品(触媒や化成品)は、生活の様々な場面に利用されており、人々の豊かな暮らしを支えています。
同社の事業活動における最重要事項は、環境との調和を大切にし、人や社会に安心・安全な価値を提供することです。企業のサステナビリティの維持向上に努め、素材の力を活かした独自のモノづくりで「人と地球の健康」に貢献しています。
日揮触媒化成WEBサイトはこちら
事業所のある北九州市若松区において、地域と連携して様々な活動を行っています。例えば、小学生を対象に、若手社員が先生となって化学の実験を教えています。
北九州市の若松区の企業や団体と一緒に、子どもたちに仕事の楽しさや面白さを伝えています。例えば、スーパーボール作りなどの体験コーナーを通じて、化学の面白さを感じてもらっています。
北九州事業所の西側にある国道沿いの地域を、月に1回清掃しています。
響灘ビオトープの生物多様性保全
本プロジェクトは、日本最大級(約41ha)のビオトープである「響灘ビオトープ」を舞台に、湿地に生息する水生昆虫の保全を主眼としています。
同社は、地域の生物多様性を守る社会貢献活動の一環として、専門家による「現地調査」や、水面を維持するための「植生管理」を支援しています。また、同社社員・家族含む市民参加型の環境学習講座を響灘ビオトープと共同で開催するなど、企業全体で自然への理解を深め、ネイチャーポジティブの「自分事化」を図るという、企業のESG経営と地域の自然保護が融合した共創モデルとなっています。
響灘ビオトープに生息する多くの生物の中で、ゲンゴロウ、タガメ、アメンボなどの昆虫は、幼虫から成虫までの一生の大部分を水中や水面で過ごします。体が小さく見つけにくかったり、あまり注目されることのない存在ですが、これらの昆虫は食物連鎖の重要な担い手となったり、水環境の「健全性」を示す指標となったりするなど、重要な役割を果たしています。
同社は、湿地の環境保全と、湿地に生息する昆虫について多くの市民に知ってもらうことを目的として、以下のような活動の支援を開始しました。
保全活動の指針を策定するため、専門家による本格的な水生生物調査を実施しました。泥の中に潜む生き物を1匹ずつ丁寧にサンプリングし、種類を見極める同定作業を行いました。
この調査の結果、計27種の水生昆虫が確認され、その中には、環境省や福岡県のレッドデータブックに掲載されている希少種(重要種)7種が含まれていました。この結果は、当エリアが絶滅危惧種の重要な生息拠点であることを改めて証明し、継続的な保全の重要性を再確認することができました。
水生昆虫の生息には、日光が届く開けた水面が不可欠ですが、放置するとヒメガマやヨシなどの抽水植物が過度に繁茂し、水面を覆い尽くしてしまうため、その刈り取り作業を実施しました。
予定です。
適切な除草により水面が確保され、生物調査で確認された希少種たちが今後も安定して繁殖できる物理的な環境が整います。
同社社員・家族を含む市民参加型の環境学習会を響灘ビオトープで開催しました。
園長の解説を交えた生き物観察を通じ、湿地の生態系を学習。自社の支援が希少種を守る現場を体験することで、自然保護への意識を「自分事」として深める貴重な機会となりました。
これらの支援実績が国に認められ、同社は環境省が発行する「自然共生サイトに係る支援証明書」を取得しました。本事例の支援証明書紹介WEBサイトはこちら(環境省ページURLリンク)
本事例は響灘ビオトープでの水生昆虫調査や観察会、湿地保全活動を通じて、生物多様性の維持・回復に実効的な役割を果たしています。
希少種の生息環境を物理的に整備し「生物多様性の損失」を食い止めるだけでなく、環境学習を通じて、社員や次世代を担う家族、地域住民の生態系への理解を深め、意識変革も促しています。
地域企業と環境施設が密に連携し、自然資本を守り育てるこの姿は、産業活動と自然環境の共生を具体化する「ネイチャーポジティブ」の実践事例といえます。
同社は、令和8年度以降は企業版ふるさと納税を利用した北九州市のネイチャーポジティブ支援のための寄附を行うこととしており、北九州市とも連携しながら響灘ビオトープにおける生物多様性保全活動の支援を継続し、湿地環境の維持・再生に取り組んでいく方針です。
今後は、環境学習や市民参加型イベントなどにも積極的に参加し、生物多様性保全への理解促進にも力を入れていく予定です。
また、地域企業や団体との連携を深め、自然と産業が共生する持続可能な地域づくりに貢献していくことを目指しています。
※取り組みに関心をお持ちの企業・団体の方は、北九州ネイチャーポジティブネットワーク事務局までお問い合わせください